2011年2月4日金曜日

IPアドレス枯渇問題

アドレスの在庫切れ(^^;)
IPアドレス枯渇問題はインターネットが誕生した時から潜在的に存在していました。「32ビットのIPアドレスでは2の32乗=約43億のIPアドレスしか管理できない」という考えは将来に起こり得る問題として提起されはしたが、実際に深刻な問題としては取り組まれなかった。当時からIPアドレス枯渇問題を回避するための技術を用いることはできたかもしれないが、1980年代以前の考えではそこまでの機能を持たせるだけの必要性がなかった。が!とうとう昨日IANAの管理するIPv4アドレスの在庫は枯渇した…。

インターネットに接続する際、パソコンなどの機器に割り振られる「住所」に当たる「IPアドレスを管理しているのが国際機関IANA、アドレス交付の調整機関がNRO。ネットが急速に普及したためで、NROはネット事業者に次世代規格「IPv6」へ速やかに移行し、混乱を回避するように呼びかけている。
IPアドレスはIANAが集中管理し、NROが世界5地域の管理団体(RIR)にブロック(1ブロックは約1678万個)単位で交付し、さらにネット接続事業者などを通じて、利用者のパソコンや高機能携帯電話(スマートフフォン)などの機器に個別に割り当てる仕組み。
パソコンだけでなく、スマートフォン多機能携帯端末などが普及、中国など新興国の経済成長などで利用者が急増し、現行「IPv4」のアドレスの各地域への分配を終了。次世代の「IPv6」は約340×10の36乗個340兆の1兆倍の1兆倍)と桁外れに多く、枯渇の心配がないという。

 IANAの在庫が枯渇しても、アジア・太平洋地域で実際に枯渇するのは今年後半の見込み。また、完全に枯渇しても既存の機器でのネット接続は可能だ。ただ、次世代規格への移行が遅れれば、新規のネット登録ができなくなる恐れもあり、ネット接続事業者やコンテンツ(情報の内容)配信会社などは対応を急ぐ必要がある。


RIR(地域インターネットレジストリ)の管理するアドレスも2011年9月末までには枯渇すると予想されている。IPv4枯渇時計設置しときます(^^;)
日本に割り当てられたアドレスは1月現在、1億8700万個。日本が所属するアジア太平洋地域の在庫はもっと早い5~8月に切れる予測もあります。



■この問題の影響としては
①IPv4のIPアドレスが新規取得が困難
新規にプロバイダと契約してインターネットの接続回線を開いて、サーバーを設置しても、IPv4のグローバルアドレスを取得することが困難になり、サーバーを公開することができなくなる。IPv6のグローバルユニキャストアドレスを取得できれば、サーバーを公開すること自体はできるが、IPv4でのみアクセス可能なユーザからの参照が困難になる。
②ルーターに配布されるIPアドレスの種別変更
プロバイダからルーターに配布されるIPアドレスの種別がグローバルアドレスから、ISP Shared Addressまたは、プライベートアドレスになる場合がある。プロバイダによっては、グローバルアドレスを使用し続けるには、追加料金が発生する場合がある。IPアドレスの種別を変更するのは、限られた資源であるIPアドレスを個別のユーザに配布することをやめることにより、新規のサーバーにIPv4のIPアドレスを割り振ったり、将来の接続ユーザ数の増加に対応したりするためである。
③既存ユーザの既得権益の侵害
現在、大きな制限もなくIPv4のIPアドレスを使用している既存ユーザにとって、IPアドレスを共有することを強制されることは、既得権益の侵害としてうつる。現在は、実際にIPアドレスを共有することを強制されるような計画が公開されていないため、問題視されていない。しかし、このような計画が発表されれば、既存ユーザの反発が予想され、賠償請求訴訟や計画の停止を求める訴訟問題に発展することは避けられない。
④ルーターの変更
ルーターに配布されるIPアドレスの種別が変更になったことにより、ルーターの設定変更が必要になる。プロバイダによっては、IPv6対応のために、CPE(Customer Premises Equipment)を構成するルーターなどの買い替え、または、接続用アプリケーションの新規追加が必要になる場合がある。
⑤アプリケーションの変更
使用しているアプリケーションが使用できなくなる可能性がある。ルーターに配布されるIPアドレスの種別がグローバルアドレスであることを期待しているアプリケーションでは、ルーターに配布されるアドレスの種別が変更されることにより、通信ができなくなって使用できなくなるアプリケーションがでてくる。UPnPなどによりNATによる影響を回避しているアプリケーションでは、IPアドレスの種別が変更され多段NAT構成(ラージスケールNAT)になった場合に、対応できない。特にP2Pにより、端末間で直接通信を行うタイプのアプリケーションについては、影響が大きい
⑥ホームページやWebアプリケーションの変更
IPv4でアクセスされることを前提にしているホームページやWebアプリケーションでは、サーバーがIPv6でアクセス可能になった場合に、IPv6への対応が必要になる。具体的には、IPv4のIPアドレスでセッションの管理をしている場合に、単一のIPv4のIPアドレスで複数のユーザが同時にアクセスしている場合の対応や、IPv6でアクセスしている場合の対応が必要となる。

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